カネジョウの紹介
社長 望月啓一より
銀行員からの転身
大学を卒業してから銀行に身を置き、数年後に家業を継ぐために帰ってきたのは1976年、27歳の時でした。当時は企業と言えるようなものではなく、生業として桜えびと削り節を扱っているような小さな工場でした。
この仕事が好きで、自分で選んでこの道に入ってきました。人からの指図ではなく自分の好きなことをやっていきたいという思いも、いっぱしの企業にしてやろうという野望もありました。
それからというもの、周りを見ないでがむしゃらに働いてきました。
業界自体が縮小していく中、周りを見る余裕がなかったというのも、正直なところです。
しかし、「同業者のモノマネだけはしたくない、自分なりの本物のものを作り出していきたい」という気持ちだけはいつも持ち続けてきました。
「この道より、我を生かす道なし。この道を歩く。」―武者小路実篤―
もちろん、今でもその気持ちは変わりません。
そのまま食べても美味しい削り節
入社してからすぐ、まずは削り節の改良を始めました。
ダシ用ではなく、ご飯と削り節だけで「贅沢な食事だな~~っ」と思えるような、”そのまま食べてもおいしい削り節”をコンセプトとして、原料とその仕込み、そして削り方に試行錯誤を重ねてきました。
また、私自身、削り節ご飯が大好きなので、自分のためにも満足できるものを作りたいという気持ちがあったのも事実です(笑)。
そうして生み出されたのが『細削り』、『おかか』そして『ふくよ香(現磯ふぶき)』の3つの商品です。
途中、名前を変えたりもしましたが、20年以上続くカネジョウのロングセラーとして、今でも熱烈なファンの方々に支持していただいています。
もちろん、今でももっとおいしくするために、ひっそりと原料と製法に改良を加え、進化させています。
いつも何気なく食べていて、ふと「あれ、これってこんなにおいしかったっけ??」と驚いて頂けるのが何よりの楽しみです。
活かすべきは“えび”の個性
国内での桜えびの漁獲量が減少し価格も急激に高騰する中、国外にも桜えびがあるのではないかという思いを胸に秘め、アジアを探し回りました。
フィリピンへ桜えびを探しに行き、小えびを見つけてきたこともありました。
インドネシアへ数か月をかけて小えびを探しに行ったこともありました。
そのような中、生息状況、漁の方法、鮮度の良し悪しなどの品質の見極め方をはじめ、小えびの個性を活かすための製法を身に付けることができました。
その後、小えびを自社商品のひとつの柱にしていこうと決め、台湾と中国へ何度となく赴き、現地での技術指導を繰り返しました。
ただ安いエビを買い付けてくるだけでなく、品質が良くなければ、ずっと買い続けてくれる商品にはならないと考えたからです。
そうして出来たのが、『小えび』と『素干しエビ』。「香ばしさ抜群のえびを袋詰めしました」というキャッチフレーズのもと売り出し、健康ブームも後押ししてヒット商品となりました。
ちなみに、現地での技術指導は現在でも続けています。
目隠ししてでもわかる個性をもった商品を
目隠しして何十種類と試食しても、選んで頂けるような本物の味をつくりたい。
「これはカネジョウの削り節だ、カネジョウの桜えびだ」と一目でわかるような、顔を持った商品を作り出していきたい。
そして、安心・安全で美味しい、良質な商品をお客様に提供し続けたい。
そのために必要なのは、商品を好きなること、商売を好きになること、今までに味わったことのないような美味しいものを作り出したいという野望を持ち続けること、そして、自分が食べておいしいと思えないものは絶対に作らないし売らないこと。
削り節と桜えびを中心に、カネジョウの商品は普通より少し高いです。
だからこそ、お客様をがっかりさせるようなものを作ってはいけない。
絶対的な自信をもってお勧めできる商品を、これからも作り続けていきます。